#03 ふと思った疑問
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 放課後のカフェテリア。あたしは部活に行こうとしていた、ちひろを呼び止めた。
 ちひろはこっちに向かってきた。
 あたしはクッキーとハーブティを用意した。
「茉理。私」
「いいっていいって。あたしがおごってあげるから。ささ。早く座って」
 あたしはちひろに座ってもらうように促した。
「う、うん」

「最近ちひろ、変なことばっかり巻き込まれるね」
「う……うん」
「どうしてちひろが1人の時ばかりなんだろ? 誰が、何のために?」
 あたしがいない時を狙って、2回も続いた。
「茉理。茉理は私が捕まってる、ってどうしてわかるの?」
「え?」
 あたしはちひろに聞き返した。
「だって。1回目の時は茉理、家に帰ってたし」
「その時は家に電話が掛かってきたのよ。まだちひろが戻ってない、って」
「じゃあ、2回目は?」
「仁科先生が教えてくれたのよ」
 あたしはその状況をちひろに伝えた。
「え? 茉理。仁科先生、こっちに来てないよ?」
「なんですってー!」
 ちひろの返事はあたしの予想とは全く違ってた。
 仁科先生が来ていない。それはどういうこと?
「じゃ、なぜ仁科先生は、ちひろがそんな目に逢うのが分かるのよ?」
 ちひろに言った所で分かる訳が無いけれど、あたしは聞かずにいられなかった。
「私に分かる訳ないよ」
 このままでは八つ当たりだ。
「ごめんね。ちひろ」
 あたしは慌てて謝った。
「こうなったら仁科先生に聞いてみるしかなさそうね」
「うん。そうだね」
「じゃ、ちひろ。またね〜」
 あたしは着替える事にした。


―― 休業中 ――


 保健室にはこんな札が掛けられていた。
 中にいるにもかかわらず、札が掛けられている事もよくある話、と、ドアを開けようとした。
……鍵が掛かっていた。
「いない……」
 職員室にいるかもしれない。
 あたしは職員室に向かう事にした。
 職員室は何度来ても緊張する。
 別に直樹みたいに悪い事をしている訳じゃないんだけど。
 ドアを開けた。
「仁科先生!! って、あれ?」
 職員室にはもぬけの殻だった。
 他の先生もいない。誰一人。
「ひょっとして」
 悪い予感が当たりませんように。
 あたしはカフェテリアに戻った。出来るだけ早く。

「遅かった……」
 カフェテリアに戻っても、人は誰もいなかった。
 さっきまでいたのに。

――フフフフフ

 頭の中で誰かの声がした。
 あたしは後悔した。なぜちひろと一緒に行かなかったのか。
 そんな当たり前のことも出来なかった自分に腹が立った。
 トレイは持っていない。
「アンタは何なのよ!」
 あたしは何もない所に思いっきり叫んでみた。

「キャー!!」
 ちひろの叫び声が聞こえた。
「どこ? ちひろ!!」
「誰かっ!!」
 声は厨房から聞こえてくる。
 あたしは厨房に入った。
「ちひろ!!」
「ま、茉理〜」
「どうしたのよ? それ」
「何かが私にこれをかけたんです。もう、ベトベトです。それに臭いし」
「うゎ」
 見ると、白い液体まみれになっていた。ミルク……ではなさそうね。
 ベトベトで、生臭い。
「ちひろ。早く脱いで。体を拭いて。これに着替えるのよ」
 あたしはタオルと、予備で置いてあるカフェテリアの制服をちひろに渡した。
「う、うん。ありがとう。茉理」
 サイズは合うかどうか分からないけど、きっと大丈夫。
「野乃原先生を探さないと……」
 あたしは野乃原先生を探した。
……隣にいた。
 野乃原先生は腕を組んで仁王立ちしていた。
「あ、あのねぇ〜」
 あたしは立ち止まろうとしたけれど。
 どうしてバナナの皮がここにあるかなぁ。
 思い切り滑ってしまった。
「イタタタ……。と。野乃原先生」
「ふっふっふっ……ついに来ました〜」
 意味が解らないよー。
「野乃原先生ってば!」
 あたしは野乃原先生を揺さぶった。
「わたしは野乃原先生じゃありません。結・ア・ラ・モードです」
「言っていて恥ずかしくないですか?」
「さあ! 正体を現しなさい!」
 あたしの感想はスルーされた。
……って冗談はさておいて。
 結(略)モードが叫んだ後には、巨大な鶏がこっちを見下ろしていた。
「そして! 卵をたくさん産んで私の大好物のプリンの材料になるのですー」
 プリンの為なら何でもするのね。やっぱり。
 コケー!!
 鶏は結(略)モードに襲いかかった。
 カン!
 甲高い音がして鶏は後へ弾かれた。
 先生の手にはステッキがあった。でも、あたしが変身する為に使っているステッキじゃない。
 コッコッコッコッ……
 バササササ……
 鶏、って飛べないんじゃ?
 あたしは目を疑った。鶏が飛んでいる。
「まつりん、伏せて!」
 結(略)モードの声にあたしは反射的に伏せた。
 間一髪、あたしの上を鶏は飛び去って……
 ガラガラ……。
 観葉植物に激突した。
「先生! そのステッキは?」
「わたしは先生じゃありません。結・ア・ラ・モードです」
「そんなことよりも。あたし、何も用意していないんですよ!」
「まつりん。あなたの変身トレイはコーヒーメーカーの下です」
 どうしてそんな事が分かるのだろう。
 あたしは言われた場所に行った。
 言われた通り、コーヒーメーカーの下のところにそれはあった。
 他のトレイと色が違う。
 すぐに気付きそうなはずなのに。これは、あたし専用?
……と、余計な考えはこの際置いといて。
 あたしは呪文(?)を唱えてみる事にした。
「ぴぴるぴるぴr(ry」
「まつりん! それはダメです!!」
 途中で結(略)モードからツッコミが入った。厳しいなぁ。もう。
 あたしはトレイを回転させてステッキに変形させた。
「あたしの仕事場を荒らすものは許せない!」
 ステッキを掲げると、あたしの体が光に包まれた。
「マジカル☆まつりん!」
 すぐにこの前使った技を出す事にした。
「まつりんソニック!」
 ステッキは一直線に鶏にめがけて飛んでゆく。
 しかし……。
「あっ!」
 あたしの投げたステッキは大きな嘴で咥えられてしまった。
 勝ち誇ったように見下ろす鶏。
 なんかムカつく。
 あたしは転んだ元凶となったバナナの皮を拾い集めた。
「わたしはこの大きなニワトリさんの卵が欲しいのです。それで作ったプリンはさぞや、美味しいんでしょうね〜」
「結アラモードさん? 確か、これって時間も早く経っている訳ですよね?」
「ええ、そうですよ」
「もし、それが本当の事だったら。もっと早く卵が出てくる訳ですよね?」
「そうなりますね」
「じゃあ、何故卵が落ちてこないんですか? 1分毎に1個は落ちてくるはずですよね?」
 至極当たり前の事をいったつもりだけど。しかし。結(略)モードの錯乱は一時ストップした。
「ひょっとして。ひょっとしてですけど。ニワトリさん。あなたは。オ ン ド リ で す か」
 結(略)モードが問い詰めた。
 見れば分かると思うんだけども。それは言わない方がいいわね。
「コ、コケッ。な……何のことかね」
 思わず喋ってしまったニワトリ。やはり鳥頭だ。ステッキが嘴から落ちる。
 しめた。
 あたしはステッキを拾った。
 仕返しだ。とばかりに。バナナを仕掛けた。
 静かな怒りが伝わってくる。
「わたしのプリンをどうしてくれるんですか」
 傍から見ていると逆切れね。まったく。
 ニワトリは動揺していた。あたしの仕掛けていたバナナすら気付いていない位に。
「コ……コケッ。そんな事言われても。コケ!」
 バナナで体勢が崩れた。今だ!
「まつりんソニック!」
 ステッキを再び投げる。加速が付いて一気にニワトリに命中した。
 ガシャーン!!
「コケー!」
 ニワトリは元に戻った。雄鶏だった。これじゃあ、卵は産めないわね。
「エスケープ!」
 あたしは変身を解いた。
「茉理!」
 ちひろが駆け寄ってくる。
「茉理。カッコよかったよ」
 ちひろは目を潤ませていた。
「てへへ……見られてた?」
 やっぱり少し恥ずかしいわね。
「うん」
「それよりも。結(略)モードさん。どうして変身しないといけないんですか?」
 あたしは前に引っかかった疑問をもう一度聞いてみる事にした。
「それは、その衣装でないと。進化物質の影響を受けるからですよ」(かわいいからに決まってるじゃないですか:ボソ)
 なぁんだ。
「それよりも。コレを片付けなくっちゃね」
 また盛大に散らかったカフェテリアをまた掃除することになった。
 それは夜遅くまでかかり。その後、家に帰った。
「ただいま〜」
「お。茉理。またこすぷr」
「バカ」
 ほんっとに直樹ってば。あたしは持っていたトレイで直樹を沈めた。

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